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BLACK SPIRES AND MARMALADE SKIES
黒い尖塔とマーマレードの空
The pointed head pierces the sky, reaching into the distance.
However, it only moves further away from the edge of the light.
とんがり頭が天を突き刺し、彼方へと伸びている。されど光りの果てからは遠ざかるばかり──。
「黒い尖塔とマーマレードの空」は灰村マオが2024年から取り組んでいる平面絵画シリーズ。
「黒い尖塔」は精神を前進させてきた鋭く洗練された理性を、「マーマレードの空」は定量化される以前にそこにあったはずの感覚的世界を象徴し、両者のせめぎ合いや調和をテーマとしている。
感覚と理性のような二項対立の狭間に身を置き、そのあいだを行き来するところに「自由」は見いだされる。この「自由」を獲得することによって精神的な豊かさが実現するのである。
オレンジ色を基調とした抽象画がシリーズの主軸であり、鋭利な尖塔の形状や遊び心あるモチーフが特徴的である。オレンジ色は深い安心感や依存心のような初期の愛着状態、普遍性や神秘への憧憬を象徴する色として中心的に用いられている。装飾的な感動や絵本のような親しみやすさを意図しながらも、鑑賞者に精神的な刺激や高揚をもたらすことを目指している。
近現代美術的な抽象表現と1960年代のサイケデリックアートにみられるポップさを融合させた作風をしている。制作には油彩、アクリルをはじめ、全卵、胡粉、雲母といった多様な素材を取り入れたミクストメディアが用いられている。
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